病理学講座・病院病理部について


 病理学の講義は、本学の創立の年に当たる成医会講習所開設の明治14年5月1日に遅れること1年にしてなされており、当病理学講座の源流をここまで遡ることが出来ます。初代病理学教授は明治43年に就任した今裕氏です(後に北海道大学に転任)。以後木村哲二、大場勝利、高木文一、石川栄世、松本武四郎、藍沢茂雄、牛込新一郎、羽野寛、池上雅博の各氏が教授に就任、現在の下田将之に引き継がれています。
 研究は伝統的に人体病理学(臓器病理学、外科病理学、腫瘍病理学)を中心に幅広く行なってきており、近年実験病理学も導入しております。病理学は周知のように疾患の原因あるいは成り立ちの究明を主目的とする学問領域で、伝統的に剖検に象徴されるように形態学が方法論として用いられてきております。従って病理学を専攻するものは、病理形態学とは何かということを考え、形態学的なものの見方に精通するよう努力しなければならないことは言うまでもありません。その上で近年著しく発達している種々の手法、例えば前述の実験病理学的手法を導入し、形態学を基盤とした学問を更に発展させるべきであると考えています。
 スタッフは教育、研究に従事しつつ、病院病理部の業務にも携わっています。因みに病院病理部は平成8年4月に病院(本院、分院)に設置され剖検、生検、細胞診業務を行なっており、スタッフは全員講座からの出向の体制をとっております。現在生検数年間約16,000件、細胞診数約17,000件にのぼり、診断の正確性、迅速性をモットーに病院診療に大いに貢献しています。剖検は年間40~50体で、減少傾向にありますが、診療の質を裏打ちする重要なバロメーターとも言われており、極力臨床へのフィードバックに努めています。 病理学講座と病院病理部は、教育、診療に貢献しつつ、自由な雰囲気の中で特に人体・実験病理学に力を入れ研究を進めております。

主任教授 下田 将之


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